手作り離乳食で気を付けたい「食中毒」
2016/11/23
離乳食を作る上で気を付けたいのが「食中毒」です。食中毒は、1年中注意が必要です。大人だと腹痛や下痢などの軽度で済む場合でも、小さな赤ちゃんは重症化することもあります。きちんとした知識を知り、我が子に安全な食事を食べさせてあげましょう。
食中毒の原因と対策
多くの場合、食中毒が発生しやすい原因として「調理をする者の手洗い不十分」や「調理器具の殺菌・消毒が不十分」が挙げられます。また、「保存状態の悪い食材を使用する」、「食材の加熱不十分」なども原因として挙げられています。
食中毒の対策1 「手洗い」
まずは基本となる「手洗い」をきちんと行うことが大切です。最近では手指の消毒用スプレーなども販売されているので、併用することで更なる対策にも繋がります。
調理中は、自分の顔や髪の毛に触れないようにしましょう。調理中に携帯などでレシピを確認する場合もありますが、携帯に触ることも菌がつく原因の1つですので気をつけましょう。調理中に触ってしまっては、せっかくの手洗いも意味がなくなります。触った場合は再度手洗いを行いましょう。
食中毒対策2 「食器の消毒」
通常の食器洗浄で汚れは落ちますが、雑菌は全て洗い落とすことが出来ません。そのため、赤ちゃん用の食器や離乳食で使う調理器具は「煮沸消毒」がおすすめです。食器をしっかりと洗剤で洗い流した後に、沸騰したお湯の中で食器や調理器具をグラグラと煮ます。煮沸消毒をした後は、しっかりと乾燥させましょう。雑菌は水分が残っていると繁殖しやすいので、注意しましょう。
離乳食を作る際には、すり鉢や茶こしなどの目の細かい道具も使用します。こうした道具には汚れが残りやすいため、歯ブラシを使用して細部まで汚れを取り除くようにし、汚れは残さないようにしましょう。その後「煮沸消毒」をして乾燥させておきましょう。
Milton(ミルトン)を使った消毒も手軽でおすすめです。
食中毒対策3 「食材の十分な加熱調理」
赤ちゃんの場合は特に、食材は必ず加熱調理したものを与えましょう。生焼けは食中毒の原因になります。きちんと中心まで加熱を確認しましょう。大人の場合は生で食べる食材であっても(キュウリやレタスなど)、必ず加熱調理します。
食中毒対策4 「ふきんはこまめに交換する」
食中毒などの菌は、水分を好みます。そのため、ふきんを濡れたまま放置すると菌は次々と繁殖していきます。ふきんは濡れたら別のものに交換しましょう。調理の際は複数枚のふきんを予め用意しておくと良いです。
食中毒対策5 「スポンジも除菌する」
見落としがちですが、スポンジには水分が残るので菌が繁殖しやすいです。スポンジの除菌も忘れずに行いましょう。定期的にスポンジの交換も行うと良いでしょう。
注意が必要な細菌
食中毒を引き起こす菌は感染力や繁殖力が強いため、注意が必要です。赤ちゃんがかかりやすい食中毒を引き起こす菌には幾つか種類があるので、ここでは特に赤ちゃんに注意が必要な菌を取り上げたいと思います。
腸管出血性大腸菌O-157
誰しも一度は耳にしたことがある代表的な菌です。大腸菌は、健康な人や動物の腸に多く生息しています。その中のごく一部の大腸菌が病原性を持っています。たった50個程度の少量の菌であっても発症してしまう、驚くべき感染力の強い菌です。調理に使用した道具は十分に洗浄・消毒を行いましょう。また、食肉を使用する場合は十分に加熱調理をしたものを食べさせましょう。
潜伏期間は3日以内と言われています。症状は、下痢、嘔吐、発熱です。稀に腹痛や下痢などから重い脳症を併発する場合もあるため、注意が必要です。
腸炎ビブリオ
腸炎ビブリオは沿岸の海水中に生息している菌です。増殖が早いことが特徴で、夏場に多く発生しています。この菌は真水に弱いことが知られているので、魚介類は使用前に真水で洗いましょう。魚介類は10℃以下で低温保存をしましょう。調理後の器具の洗浄・消毒を十分に行います。
体内に入ると、最大で24時間以内に発症します。症状は、腹痛、下痢、吐き気、発熱などが挙げられます。
サルモネラ
サルモネラ属菌は、自然界に広く生息しています。食材では、食肉、卵、ウナギ、スッポンなどが汚染されていることがあります。卵を使用する際は、新鮮な物を使い、十分に加熱をしてから食べさせましょう。卵は冷蔵保存し、1度割った卵は直ぐに調理をして、割った状態で保存をしないようにしましょう。
サルモネラが食材と一緒に体内に入ると、腸で繁殖して腸炎を引き起こします。下痢や発熱、腹痛などの症状が現れ、重症化すると死亡する恐れもあります。
カンピロバクター
カンピロバクターは、ペットや野生動物、家畜などの動物に生息している菌であり、特に鶏が多く保菌している菌です。この菌に汚染された食肉を食べることで感染します。そのため、生肉を扱う際は手や調理器具を十分に消毒しましょう。お肉は十分に加熱調理し、生焼けにならないように注意をしましょう。
下痢や吐き気、また発熱や頭痛といった風邪と間違えやすい症状が出ることもあります。潜伏期間が最大で2~5日と長いのも特徴です。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、人や哺乳類、鳥などに生息しており、健康的な人でも鼻や皮膚によくみられます。手や指に化膿がある人が調理をすると、食材の中で菌が増えて毒素を作り出し、食中毒を引き起こします。手や指に化膿のある人は調理をしてはいけません。手洗いをきちんと行ったり、食材をきちんと冷蔵保存することで対策に繋がります。調理した食材を長時間常温に置くことで、その間に毒素が発生する場合もあるので、調理後は早めに食べさせましょう。
潜伏期間が短く、数時間で嘔吐、腹痛、下痢などの症状が現れます。
食材に付着する寄生虫
野菜や魚介類など、私たちが食べている食材には寄生虫がついていることがあります。調理方法によっては、寄生虫もそのまま一緒に取り込んでしまっている場合もあります。
寄生虫は熱に弱く、食品を加熱調理することで完全に死滅させることが出来ます。赤ちゃんはまだ消化器官の発達も未熟なため、離乳食は基本的に加熱調理をして与えます。大人が生で食べるようなレタスやキュウリなどの野菜も、きちんと加熱調理をして与えましょう。寄生虫も防ぐことが出来ます。
野菜につく寄生虫の除去
大人は野菜を生で食べる機会も多いです。日頃子育てをするママも、生野菜を食べる際は自身の体のために気を付けておきましょう。
野菜についている寄生虫の代表的な物が「回虫」です。回虫の卵が野菜の表面に付着していることもあります。これはとても小さく、目視では確認することが難しいです。除去の方法としては、指やブラシなどを使って野菜を丁寧に流水で洗い流します。これで回虫の卵を洗い流すことが出来ます。
アニサキスに注意を
近年「アニサキス」による食中毒が増加しています。赤ちゃんにも十分に注意をしてあげましょう。アニサキスとは、魚の体内に潜んでいる菌で、目視でも確認できる2~3cmの半透明白色の菌です。
寄生している魚介類
・サバ
・サンマ
・カツオ
・イワシ
・サバ
・イカ など
アニサキスの感染予防法
・内臓は早めに除去する
アニサキスの幼虫は、鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動します。そのため、早めの内臓除去で身の部分にアニサキスが移動するのを防ぎましょう。
・加熱調理をする
寄生虫は熱に弱いので、60℃で1分、70℃以上では瞬時に死滅します。加熱調理をして、赤ちゃんには安心の食材を食べさせてあげましょう。
・冷凍保存する
冷凍保存することでも、アニサキスを死滅させることが出来ます。マイナス20℃で24時間以上冷凍しましょう。
アニサキスは酢や塩、わさびなどでは死滅しません。大人は鮮魚を生で食することも多いですので、大人も十分に気をつけましょう。
まとめ
食中毒に関係する細菌を何種類かご紹介し、細菌別の症状も紹介しましたが、症状は個人差もあり紹介した症状以外のものが発症する場合もあります。食中毒の症状の多くが下痢や嘔吐です。体の小さな赤ちゃんにはいずれも辛いものですので、しっかりと予防をしてあげてください。
食中毒は予防をしっかりと行うことで防ぐことが出来ます。日頃から予防を行い、安心で美味しい食事を我が子に食べさせてあげてくださいね。